アワーズダイニング(栃木県・那須町)
natural restaurant Ours Dining
なるべく既製品を使わず、素材からつくるオーガニック料理
東京から約150km。那須高原にあるヤギが迎えてくれるレストラン。真っ白な空間に、瓶詰めされた果実酒、スコーンやコンフィチュールが並んでいます。キッチンではオーナーシェフの濱口正遠さんが次々と料理を生み出し、ホールでは奥様の淳子さんがサーブ。とても静かな空間で、ゆったりと食事を味わうことができます。
シェフは料理の素材になるべく既製品を使わず、自分たちで素材から作ろうとしています。生ハムやベーコン、スモークサーモンなどの燻製、農家から仕入れた大豆を使った味噌や豆腐、豆乳、納豆などほとんどが自家製。天然酵母パンはもちろん、ウスターソース、白しょう油まで一部の調味料も手づくりしています。
「私たちは素材や調味料を選ぶとき、なによりも味わい深く、おいしいことを重視していますが、なるべく直接生産者に会ってお聞きし、その生産者の想いをお皿に表現できればと思っています」と、淳子さん。
素材を「誰が?」「どんな想いで?」「どのように作っているのか?」を考え、調味料も原材料ができるだけ無農薬のもの、昔ながらの伝統的な製法でじっくりと作られたものを選んでいるのだとか。
淳子さんはパティシエと接客を担当し、クッキーやシフォンケーキ、タルトやキャラメルなどお菓子はすべて手づくり。多彩なアイデアをまとめたレシピ本も出版しています。「毎日食べても飽きのこない、季節の野菜や果物の素材感を活かしたお菓子を作っていきたい」と淳子さん。
2006年、出身地の徳島から那須高原に来たふたりはレストラン横に畑を作ることから始めました。それはレストランに来る人に、本当の野菜の味を知ってほしかったから。自家菜園で直前に収穫した新鮮野菜の力強さ、農薬を使わない自然農法をベースにした野菜のおいしさ、食品添加物を加えない食材本来の「味」を知ってもらいたい。そんな想いが、レストランを次々とカタチ作ってきました。
人が喜んでくれると嬉しくなる。それが私たちのエネルギーになる
アワーズダイニングの庭では5月~11月に月2回、「大日向マルシェ」というオーガニックマーケットが行われ、無農薬野菜や天然酵母パン、お菓子、木工作家のカトラリーなどが販売されています。出店者は20組ほど。観光客はもちろん、那須の住民たちが顔を合わせ、情報を交換したり、交流する場所としても使われています。
イベントがない日でも地元の仲間たちが次々とレストランを訪れます。野菜や果物を納品する生産者、那須の森や草木、動物など自然の専門家、自然をモチーフにした作品をつくるアーティストなど。近年、濱口夫妻に料理や野菜の作り方などを学びたいという研修生も増え、卒業後もふたりを慕ってくるようになっています。
「自然の流れで出会った人を信頼し、人との出会いで起きる化学反応を“愉しんで”います。人が喜んでくれるとうれしくなる。それが私たちのエネルギーになるんです」と淳子さん。
アワーズダイニングの「私たち」は、那須に来た当時は夫婦ふたりだけでした。ところが14年経った現在、気のおけない仲間たち、そしてレストランに訪れたみんなの食堂、「私たちの食堂」になっています。
「私たち」の未来にあるもの。「自分」と「他人」の垣根がだんだん希薄になり、自分のことのようにまわりの人々のことを大事にし、他人の痛みを自分の痛みのように感じ、みんなが心の底から人の幸せを喜べる、そんな世の中が来たら…。「私たち」の範囲が広がり、自然や生きものたちの平穏を願える、そんな時代がきたら…。
「私たちの食堂」は、その出発点なのかもしれません。
アワーズダイニング
栃木県那須郡那須町高久甲5834-14
TEL 0287-64-5573
営 すべて予約制
ランチ 12:00~13:30(15:30クローズ)
ディナー 18:00~19:00(21:00クローズ)
休 水、木、金曜(冬季休業あり)
◯http://oursdining.jp/
営業時間など下記の最新情報をご確認ください。
http://naturalrestaurantoursdining.blogspot.com